皆様、こんにちは。今回は私達の施設で実際に行っているHusbandry Training の様子をお届けします。前回のコラムとあわせて読んでいただくと、よりご理解いただけると思います。


《採血》
@ 採血を行いやすい体勢をイルカに教えます。私達の施設では尾鰭に通っている血管から採血をするため、トレーナーがイルカの尾鰭を持つ姿勢で行っています。
A イルカがこの体勢で落ち着いている時にホイッスルを吹きます。
B トレーナーが尾鰭を持つ時間を少しずつ長くしていきます。
C イルカがこの体勢で採血に十分な時間、落ち着いていられるようになったら、今度は獣医が採決を行う事を想定して、もう一人がトレーナーの横に立ち、ABを行います。
D もう一人が横に立っていても、イルカがこの体勢で採血に十分な時間、落ち着いていられるようになったら、尾鰭にそっと手を触れてみます。そして、イルカが落ち着いてればホイッスルです。再度ABを行います。
E 今度は、血管部分を探して、触れてみます。そして、イルカが落ち着いていればホイッスルです。再度ABを行います。
F 最後は血管部分を指や爪で押したりして、少しずつ刺激を与えていきます。そしてイルカが落ち着いていればホイッスルです。再度ABを行います。
G 以上の手続きを行って実際に採血を行います。


《胃液採取・補水》
@ 胃液採取・補水を行いやすい体勢をイルカに教えます。私達の施設ではトレーナーが水中に入れた足の上にイルカが胸鰭を置き、トレーナーに接近した状態でイルカが口を開いて行っています。
A イルカがこの体勢で落ち着いている時にホイッスルを吹きます。
B イルカがこの体勢でいる時間を少しずつ長くしていきます。
C イルカがこの体勢で胃液採取・補水に十分な時間、落ち着いていられるようになったら、今度はチューブを少しずつ呈示していき、ABを行います。
D チューブを呈示しても、イルカがこの体勢で胃液採取・補水に十分な時間落ち着いていれば、チューブを少しずつイルカの中へ入れていきます。そして、イルカが落ち着いていればホイッスルです。再度ABを行います。
E 今度はチューブをイルカの口腔内奥にあててみます。そして、イルカが落ち着いていればホイッスルです。再度ABを行います。
F イルカの食道へとチューブを少しずつ入れていきます。そして、イルカが落ち着いていればホイッスルです。再度ABを行います。
G イルカの食道へとチューブを入れる長さを少しずつ長くする度、ABを行い、最後には胃液採取・補水に十分な長さのチューブをいれます。
H 以上の手続きを行って実施に胃液採取・補水を行います。


いかがですか?Husbandry Training(ハズバンダリー・トレーニング)を通して、このように私達はイルカ達と信頼関係を保ち、安全にイルカ達の健康管理を行っています。確かに、時間はかかりますが、急がないで下さい。前回もお話したように、急いで動物に嫌悪感や、恐怖心を与えてしまうとスタート地点へ逆戻りです。焦らず、少しずつ行う事が最終的には一番の早道なのです。

(千田 文子)






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