皆様こんにちは。トレーニングコラムは今回より藤井勝にかわり、私、千田文子がお届けします。トレーニングについては、まだまだ勉強中の私ですが、自分自身の復習も兼ねて皆様にお届けできればと思っています。よろしくお願い致します。
さて今回は「トレーニングの必要性、トレーニングとは何か?」についてです。

何故、トレーニングをするのでしょうか?
水族館ではショーのため、私たちのような施設なら、お客様がイルカ達と触れ合ったりするため、もちろんこれらも含まれますが、トレーニングにはまた違った重要な必要性があるのです。

1. 身体的運動のため
2. 精神的な刺激のため
3. 協力的な行動
4. コミュニケーションの場

1.身体的運動のため
近頃は、どちらの園館でもその飼育動物のニーズにあわせ、飼育施設の広さ、飼育環境を少しでも近づけようと努力はしていますが、やはり太平洋の海やアフリカのサバンナなどにはかないません。食糧、気候、繁殖のために回遊することもなければ、天敵から回避することもないでしょう。このため、絶対的に運動量が不足するので、トレーナーはトレーニングを通して様々な方法(ジャンプしたり、速く泳いだり)で動物達に適度な運動をする機会を与えています。

2.精神的な刺激のため
これは飼育下の動物が、自然環境にある様々な刺激に出会わなくなるからです。飼育下では他の動物や生物、同種の他の群れに出会うことも少ないですし、天敵に出会うこともないでしょう。毎日、十分な食糧だけが与えられ、まわりの環境も変わることが無ければとても退屈な日々になると思いませんか?人間に置き換えて考えてみてください。物が何もない小さな部屋に一人だけ入れられ、食糧だけが与えられる、仕事もテレビも電話も音楽も何もないこんな生活なんて考えられないですよね。動物達も同じです。トレーナーはトレーニングする事によって、動物達の生活においていい刺激になるよう努めなければならないのです(環境の変化、別のプールへの移動、動物のパートナーの変更、おもちゃを与える・・・etc)。勿論、皆様がドルフィンスイムをしたり、ダイビングをしたりして一緒に遊ぶ事も、彼らにとっては「刺激」の一つに入るのです。

3.協力的な行動
これは動物達の健康チェックや、動物達の移動に重要です。採血や胃液を採取する時に、自発的な協力により、動物達に採取しやすい姿勢でじっとしていてもらったり、となりのプールへの移動時に、喜んで移動してくれたりすれば、押さえつけて無理やりということからのストレスがなくなります。作業時間も短くなりますので、トレーナーにとっても、動物達にとっても安全に楽に行うことが出来るのです。

4.コミュニケーションの場
最後に、トレーニングとは園館などの施設にいる動物に限らず、ご家庭で飼われているペットでも、人間と動物が、同じ環境でお互いに楽しく生活し、接していくために必要なことを教えることなのです。

動物達のショーや人と触れ合うのを見て、『動物達が芸をさせられて、かわいそう!!』という方も少なくないと思いますが、今回のトレーニングコラムで少しでもご理解いただけたら、うれしく思います。





(千田 文子)





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